<Header>
<Author: 駱賓王>
<Title: 靈隱寺>
<Format: 五言排律>
<Year: 1964>
<BookName: 唐詩選　上>
<Translator: 斎藤晌>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 靈隱寺>
<BookPage: 257>
<UsedPage: 1>
<Feature: 1>
<End Header>
<Poem>
鷲嶺鬱岧嶢，
龍宮鎖寂寥。
樓觀滄海日，
門對浙江潮。
桂子月中落，
天香雲外飄。
捫蘿登墖遠，
刳木取泉遙。
霜薄花更發，
冰輕葉未凋。
夙齡尚遐異，
披對滌煩囂。
待入天台路，
看余渡石橋。
<End Poem>
<Translation>
釋尊のおわした耆閣窟山さながらのこの山は鬱蒼ともりあがって高くそびえたち、龍宮とも見まがうこの大伽藍は、ひっそりとした静けさのなかにとじこめられている。高樓にのぼって眺めると、東の大海原から日がさしのぼってくるのが見え、寺の門に出てみると、浙江の潮のとどろきを耳にする。天上の月の桂がここに實を落として、それがたえなるかおりをただよわせて雲のかなたからひるがえってくる。塔へ登ろうとするには、つたかずらの茂るなかを手でつかんで遠くよじて行かねばならぬ。さて手を淨め口をうるおすには、木をくりぬいた樋で遙かな泉から水をひいてあるから不自由はない。冬だというのに、霜もひどくないので、いろいろな花がまだ順々に咲いているし、うっすらと氷が張ることもあるが、山々が一ぺんに落葉するということもなく、いく分、色づいたところもあれば、まだ青いところもある。自分はわかいときから、こんな世間ばなれのしたところが好きだったが、ここへやってきて、胸をひらいてさっぱりして俗塵を洗い落としたような氣になれた。いよいよ佛道の悟りを開いて天台山にはいるというようなことになるかも知れない。この調子だと、生死を超越 して一身を忘れなければ渡ることができないといわれる深い谷の上にかかった例の石橋をやすやすと渡れるかも知れない。そういうときのわたしの姿を見せたい。
<End Translation>
<Formatted Translation>
釋尊のおわした耆閣窟山さながらのこの山は鬱蒼ともりあがって高くそびえたち、
龍宮とも見まがうこの大伽藍は、ひっそりとした静けさのなかにとじこめられている。
高樓にのぼって眺めると、東の大海原から日がさしのぼってくるのが見え、
寺の門に出てみると、浙江の潮のとどろきを耳にする。
天上の月の桂がここに實を落として、
それがたえなるかおりをただよわせて雲のかなたからひるがえってくる。
塔へ登ろうとするには、つたかずらの茂るなかを手でつかんで遠くよじて行かねばならぬ。
さて手を淨め口をうるおすには、木をくりぬいた樋で遙かな泉から水をひいてあるから不自由はない。
冬だというのに、霜もひどくないので、いろいろな花がまだ順々に咲いているし、
うっすらと氷が張ることもあるが、山々が一ぺんに落葉するということもなく、
いく分、色づいたところもあれば、まだ青いところもある。
自分はわかいときから、こんな世間ばなれのしたところが好きだったが、ここへやってきて、胸をひらいてさっぱりして俗塵を洗い落としたような氣になれた。
いよいよ佛道の悟りを開いて天台山にはいるというようなことになるかも知れない。
この調子だと、生死を超越 して一身を忘れなければ渡ることができないといわれる深い谷の上にかかった例の石橋をやすやすと渡れるかも知れない。そういうときのわたしの姿を見せたい。
<End Formatted Translation>